去年の今時期、谷を何度も歩いた。
新たな生活を始めた僕にとって、冒険心を刺激し、まだ先の見えなかった近い将来を
暗中模索しながら様々な気持が入り乱れる中歩いた谷である。
あれから一年が経ち、やっと家族と歩きたい気持ちになった。
谷へ足を踏み入れると冬の匂いがした。
あの時と同じ匂いにどこか懐かしさと安堵を覚えるとともに、こうして初めて家族と訪れると
別の景色に感じる。
歩を進めるごと、目に飛び込んでくる谷の風景は其々違うのだろうけれど、
他の誰よりも新鮮な感覚で歩く。
あの時の感情をそっと胸の奥に仕舞って、カサカサと鳴る冬の路を愉しんだ。

まだまだ幼い子供達がどこまで行けるのだろうかと何度か連れ出していたが、
長男は僕と共に谷を抜けることは容易いだろう。
次男はあと一年といったところか。
堰堤上の溜まりは結氷していた。
去年は水が多くてここには降りられず、急登攀して先に降りていたものだから、
もし今年も水があったのならばこの前で折り返していた。

冬の谷の美しさが好きだ。
無数の大きな生命感は一時その気配を潜めるが、おおいに感じることが出来る。
伸び伸びと枝葉を伸ばし、動き回る季節が来るまで。
死ぬものもあれば、耐えるものもある。
耐えるという表現は僕のフィルターを通しているからであり、実際は違うのかもしれない。

山肌からぶら下がる氷柱を発見した。
その氷柱は水の流れをわかり易くした自然の芸術である。
染み出た一滴が海へ注ぐ。
去年、そう感じ思ったことを子供達に伝えた。

水の流れは地形の変化と共にある。
子供達が大人になった時、ここの流れはどのように変わっているだろうか。


今年は付き場がかわったのだろうか。
去年に相手してくれたカワムツ達が姿を見せることは無かった。

普段と変わらない週末の時間を近くの谷で過ごす。
なんと贅沢なことだろう。
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テーマ:山登り - ジャンル:趣味・実用
- 2014/01/18(土) 01:04:27|
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返信遅れました。
最近、こんな感じでユルくなっておりますのであしからず。
こちらでは雪は貴重なんです(笑)
それでも、先々週にはうっすらと積もりましたよ。
- 2014/01/26(日) 23:53:11 |
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- SKY #mQop/nM.
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