流れの直ぐ脇で火を起こした。
サワサワと心地良い水の流れに、パチパチと火のはぜる音。
この瞬間を待ちわびていた。
去年の夏、減水したダム湖で過ごした一夜が蘇る。
温かな柔らかい朱色の炎が仲間の顔を照らした。
ふと、視線を外へ向けるとあたり一面漆黒の闇。上を見上げれば爛々と輝く星の群れ。
大きな自然のなかで人間は生かされ、そして小さな存在であると、夜露のしっとりとした
神聖な空気と煙と酒の匂いの中でそう感じた。
あれ以来、僕の理想が現実となり、また現実が更なる理想を生み出す。
今、新たに生み出された理想の現実が目に映っている。

昼過ぎに、今回の渓泊にお付き合い頂く
いわなたろう氏と合流し、お気に入りの流れを釣り歩いてきたところだ。

残念ながら僕に釣果は無かったが、さすがはいわなたろう氏、しっかりと結果をだしていた。

設営予定地にたどり着き、早々に
河原のFool's Barを開店させたのだった。

ゆっくりと闇が降り始め、山は黒く、その輪郭がくっきりと描かれる。

なんだってこんなにも防寒着を詰め込まなきゃならんのだ。
自宅を出る際に、真冬と同等の装備をバッグに押し込んでいた。
5月に入ったというのに、数週間前には雪が降ったという事を聞けば
慎重にならざるを得ない。
上下ヒートテック、下に至っては2枚重ね。薄手、厚手のセーターの上からPolerのNapsackの重装備。
これでも着込みすぎなんてことは全く無く、一歩、また一歩と火への距離を縮めた。

寝転んで天を仰ぐ。
至福の一時。
僕の場合、釣りもキャンプも山を存分に楽しむ為の要素の一つなのだ。
釣りから始まり、ここ数年、キャンプ、山歩き、オフロードバイクの再開と活動が広がってきているが
結局のところ全ては山で全てが行われるのだ。
もはや、いずれもが重要な要素である。

サワサワと絶え間なく下る故郷の谷の渓。
いつかここで、と思い描いていた場所。

未練たらしく早朝にロッドを振ったが、そうは容易くない。
出来すぎた物語ほどつまらないものは無い、と自分に言い聞かせ、静かにロッドをしまった。
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テーマ:フライフィッシング - ジャンル:趣味・実用
- 2013/05/08(水) 21:02:23|
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お疲れ様でした。
次の日は小雨が降ったので日の選択としては間違っていなかったのですが寒い晩でしたね。
火を見ている時間が長かったですネ、もっとお話したいこともたくさんあったのですが・・・
またやりましょう。
- 2013/05/09(木) 11:51:22 |
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