オピネル。
肥後守。
最初に持つナイフとして定番であるが、
僕の世代では、鉛筆削りと言えば肥後守。
いや、正確には僕の世代がギリギリ、このナイフに馴染みがあるだろうか。
祖父がこれで鉛筆を削ってくれたのを思い出す。
一家に一本、どの家庭にもあった生活道具。
電動の鉛筆削りに憧れた時もあったが、最後まで我が家にやってくる事はなかった。
一時の流行で欲しかったというだけで、本当のところは無くても良いのだと思っていたのだろう。
親の削るところをずっと見ていて、教えてもらったりもして、それから今までずっとナイフ。
鉛筆を使いたいから削るのではなく、ナイフを使いたいから鉛筆を削るなんてこともある。
実際、仕事で画を描いたりする前に、儀式のように鉛筆を削る。
一削りごと、先端を尖らせるごとに心が落ち着き、精神集中が高まってゆく。
習字のとき、墨汁を使わずに硯で墨をするのと同じ感覚だろうか。
物の価値は利便性だけではないと感じる。
どちらも同じ折りたたみ式ポケットナイフとして、手を出し易い部類であるが、
そのデザインは見ての通り大きく異なる。
美しい曲線を持つオピネルは、フランス。
直線的で無骨とも言える表情、機能美の肥後守は日本。
どちらもそれぞれの良さがある。

最近になってまた肥後守に戻ってきた。
ボディはプレス成形だろうか。一枚の金属板をコの字に折り曲げた形状。
複雑な機構、余計な生産工程を省いたシンプルな作りが素晴らしい。
歪んだら曲げて直す。緩んだら叩いて締める。使用する者が特別な知識や技術を必要とせず
自分で直して長く使い続けられる物は素晴らしい製品だと思う。
こんな完璧な製品にちょっと余計な事をしてみた。
コの字のボディは握って力を入れても特に違和感を感じる事は無いが、
しっかりと握った時の感触とフィット感が欲しいところだった。
愛用品には自分なりの特別な何かを加えたいものだ。
ナイフとともに経年変化の味が出るものがいい。

レザーケースを下へとナイフから一旦抜き、刃を出してまたボディへ滑り込ませるとグリップにもなる。
当初、予想した握り心地を上回るグリップとなった。
肥後守の美しさをわざわざ隠して、と思われる愛用者も多いかと思うが
自分が許せる範囲の出来になった、と締めくくっておこう。
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テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用
- 2013/03/22(金) 23:08:28|
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| コメント:4
肥後の守、小学校のころ筆箱の中にいつも入っていました。
このシースがあれば親指が痛くなるのからも解放されそうですね。
- 2013/03/24(日) 22:21:45 |
- URL |
- いわなたろう #-
- [ 編集]
やっぱ入ってましたよね。
刃がオピネルよりも厚くて、鉛筆削るにはこっちの方が調子いいんですよね。
- 2013/03/26(火) 16:19:04 |
- URL |
- SKY #LkZag.iM
- [ 編集]
レザーの風合いがいい感じにマッチしてそうですね。また今度見せてください。
- 2013/03/27(水) 13:05:11 |
- URL |
- happycore #BR/hs8.I
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