またしても次男の発熱。
去年のお盆キャンプの再現だ。
きっと次男はキャンプに行きたくないに違いない。
予定していた2泊3日の家族キャンプは流れたが
長男は最初の3連休に実家に残してきたため、迎えにいかねばならない。
どうせ諏訪に戻るなら、家に残してきた2人には申し訳ないが
長男と2人で1泊でもと考えた。
5時半の出発は遅すぎた。
都内から上野原を抜けるまで3時間。
渋滞を抜けて一気に加速し先を急ぐ。
レジャー感一色の中央道を走るのは楽しい。
シーシーバーにくくり着けたコンテナ満載のハーレー集団を追い抜き
カナディアンカヌーを乗っけた80km/hで巡航するVW/T4の鮮やかなグリーンに見とれ、
いつの間にか後に付かれた、重装備のBMWオフロードツアラーがルームミラーに映る。
いかにも重そうな見た目とは裏腹に、ヒラリと軽快に抜き去っていった。
次第に気分は高揚し、一気に休暇モードに切り替わる。
これから山で長男と過ごす半日を思い描いた。
予定は大幅に狂い、諏訪ICを下りたのが10時。
開店早々にモンベルショップに入って、どこへやったのか
最近見当たらなくなっていたオピネル#6を新調し、実家へ着いたのが11時頃。
キャンプの場所は既に決めていた。去年訪れた駒出池。
草木の緑と白樺の白のコントラストが忘れられない。
急いで昼食をとり、両親への挨拶も早々に一路山を目指す。
もう既に忘れかけてる地元の裏道を何とか駆使して、順調に麦草峠へアクセルを踏んだ。
キャンプ場到着14時半。
すでに疲労を覚える。
受付で思わず、オートサイト、と言ってしまった。
僕のイメージするオートサイトとは、区画がかなり狭く、隣同士が近過ぎて
会話のほとんどが聞き取れそうな、砂利敷きの味気ないものだったからだ。
しかし、キャンプサイトを息子と歩いたり、以前から急かされている弓矢を
作ったりする時間が少しでも欲しかった。
地図を渡され、悩んでいたところ、一度下見に行ってみますか?と
アドバイスされたが、それも面倒だったので適当に決めた。
受付である現在地と選んだサイト番号の順路を頭の中で数回イメージして
我がサイトへ向かう。メインの砂利道から脇へ折れ、更に砂利が続く小道を進む。
思った通りのサイトだと思った。
住宅街の様に区画整備された場所。
しかし番号で追っていっても我が家の番号に近づく気配がない。
一先ず車を停めて地図を確認すると、全く別の区画に居ることに気付いた。
再度、受付に戻ってから、直ぐ脇の道を入るのだった。
比較的大所帯のサイトを横目に見ながら暫く進むと小さな橋を渡る。
次第にひっそりと落ち着いた景色になり、地面は土の面積が多くなる。
苔むした岩が点在しはじめ、適度に木々が頭上を覆う。
今回の我が家のサイト、12の立て札を見つけた。
適当に決めたわりには、かなりいい雰囲気の場所だった。
車のドアを開けるとザーッと絶え間ない、水の音が聞こえた。
完全な、当たり、の場所だった。
整地された広い土の区画だった。
車を端に停めても十分な広さがある。
水の音は直ぐ裏を流れる渓流の音だった。

心弾ませながら下りてみる。

素晴らしい景観だ。
台風後のせいか、一見してかなり増水しているものと思われた。
その証拠に、普段なら岸であろう陸地を遥かにサイト側へ行った辺りまで
流木の塊が、水が流れたのはここまでだよと、流跡の要所要所にあったからである。
それにしても良いサイトを発見した。
両隣とは段差のある草地を隔てて距離があり、この日は運良く片隣が居なかった。
急いで設営し3時ちょっと過ぎ。なんだか、やっと一息つけたなと感じた。

道を背に、渓流に向かってレイアウトを取り、焚き火しながら水の流れを感じたかった。
その後は、約束どおり良さげな流木を拾って弓矢をつくったり、散歩したり。
僕はどうも渓流が気になり、上流に目を追っていくと、良さげなプールにはやはり。
岩陰に身を屈めてフライを撃っているお父さんの姿があった。
僕は直ぐにでも用意して下りたい気持ちにブレーキをかけ、散策を続けた。
周辺を一周してみてもやはり、我が家のサイト、No12は見付けものだった。
途中カミさんから、私らは全くつまらん!と電話を頂いた。
あちこちで煙が立ち始め、いい匂いが漂ってくる頃、僕らもサイトに戻った。
小さい頃、冬に日が暮れるまで遊んで家へ帰る途中、どこかの家からシチューなんかを
つくる、想像しただけで暖かい平和な匂いに帰路を急いだのを思い出した。
さて、今晩の我が家の夕食はそんな暖かなイメージとはかけ離れたものだった。
とにかくここまで急いで来た為、実家から米、キャベツ一欠け、人参半分、ソーセージ3本に
タマネギ、塩、醤油少々を引っ掴んできただけだった。
一合の米を飯盒で炊き、蒸らしを待つ間に、残りの材料を鍋に入れて、水、塩、醤油で
炊くだけだった。こんな質素な夕食は記憶に無い。
足りなければ、明日の朝の為に買った、総菜パンに手を出せばいい。
テント内に長男を待たせ、僕は小型瓶に入った安い赤ワインをチビチビやった。
もう出来た?と何回かの息子からの催促ののち、やっと我が家も夕食となった。
辺りはすっかり闇となり、小型のLEDランタンをテーブルに、コールマンのガソリンランタンを
少し離れた地面に置いた。
米はお粥のちょっとましなヤツに、ソーセージ入りの野菜スープとなった。
お母さんがいたらおいしい夕食になったのにね、と僕の粗末な夕食を詫びたが
息子はおいしいよと微笑んだ。泣けてきます、、、
一通り、食事が終わったあと(といってもものの5~6分だが)
火に薪をくべて、普段と変わらない保育園などの話をして
最高の時間を過ごした。
気付くとガソリンランタンの火が消えており、いよいよ寝ようかと準備を始めた。
今回のキャンプに関して唯一の不安である夜の寒さ。
すでにこれだけ寒いのだから、ちょっと失敗したなと内心思った。
持って来たシュラフは夏用の封筒型2つ。
これを2つ重ねてシッパーを閉めて二人で入ればなんとかなる筈だったが甘かった。
そんななかでも息子は先に寝付き、僕もうつらうつらと浅い眠りに入ったが
尿意と寒さで目覚め、時計を見るとまだ23時。
とにかく子供に風邪をひかせてはならないと、車にあった、フリースの膝掛けを
シュラフとシュラフの間に挟んで、僕はヒートテックに着替えて、厚手の靴下をはき
長男に抱きついて眠った。
朝5時。
スッキリと目覚めた。
一回起きて以来、ぐっすり眠れたところをみると、なんとか暖かく眠れたということで
これは子供の熱量に助けられたことも大きかった。
テントから這い出すと、水の音が大きくなった。
ひんやりと湿った空気に朝日が輝いた。


渓流に目をやると昨日とかわらない水量で、白泡を立てている。
あそこにルアーを通してみたい。
車内にタックルはあるものの、今回ここにキャンプ地を選んだもう一つの理由は
近くに八千穂レイクという管理釣場があるからだった。
桟橋で二人並んでのんびり釣りが出来ればいいなぁと、2日目の予定だった。
息子が起きる前に、タープを畳み、起きてから車に乗せて総菜パンを食べさせ
その間に急いでテントの撤収。時間は8時前。完璧だ。
さてと、車に乗り込み、釣りに行こうか?と言うと首を横に振る息子。
えっ?
寝ぼけてて僕の言ったことが分からなかったらしい。
もう一度。釣りする?
今度はハッキリと、しない!と。
そっかぁ、しないかぁ。お父さんは釣りしたいんだけどなぁ、と言うと
じゃあ行ってあげるよ、と息子に無理矢理言わせた自分の大人げなさに
親としてこれではいかん!と自分を叱咤し、連休2日目の清々しい朝日を
浴びながら、高速に乗ったのだった。
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今回のサイトは12番。
キャンプ場のサイトをどこにとるかで毎回皆さん迷われることと思います。
渓流好きの方にはお勧めと思いますが。

前回のサイト模様は
こちらから
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テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用
- 2011/09/26(月) 18:36:29|
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