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盛夏のダム湖

山に響き渡るザーッという音が聞こえた。
対岸の湖面が白く煙り始めるとともに、それは次第にこちら岸へ
近づいてきて、いよいよ頭上から大粒の雨が落ちてきた。
僕は少し嬉しくなって、ベストの背面ポケットに仕舞っていた
真っ赤なGORE-TEXのジャケットを羽織った。
以前から欲しかったGORE-TEXのジャケットが、先日行った
LL BEANストアで半値程までになっているのを見つけて即買いしたものだった。
キャップの上からフードを被り首元までジッパーをあげる。
バタバタとフードを叩き付ける雨音がフード内で響き、袖に目をやると
コロコロと新品の赤色に反射した雨粒が落ちていく。

右方彼方の餌釣り師2人が引き上げていくのを横目に魚信を待った。
予定の終了時間を過ぎてはいるが、今日一番の湖の変化に期待せずには
居られず、強くなりつつある雨脚と遠くで鳴り始めた雷の
ギリギリの自分のタイミングまで希望を持った。
昨今の日本各地で頻発する暴力的な大雨の映像が脳裏をよぎる。
何度か訪れているこの釣場までの峠道には、ガレた軟弱そうな山肌に
コンクリの吹き付けや金網で覆うなど、大きな自然の力からすると
ほんの視覚的な気休め程度の、痛々しげな山の姿が確認できるのだった。

対岸の山の斜面のえぐれ筋に雨が流れ出す前には撤収しなければと考えていた。

今朝は1時間寝坊して、5時過ぎにダム湖のいつものポイントに到着した。
先行者を気にして車を飛ばしたものの、結局は車一台のみで
すっかりシーズンは中休みのダム湖であった。
出発前日まで渓流かダム湖かで迷ったが、去年の今頃の時期に
2度訪れており、その両日とも釣果があったのを思い出す。
お目当ての鱒ではなくバスであったが、良型の引きを楽しんだ。
シーズン的には、今回の先行者、餌師2名のみから分かるように
厳しい時期であるのだが、僅かな希望とこの釣場の雰囲気に触れたい
思い、そして友人情報から知り合いが鱒をかけていたという事も手伝った。

0806_reserver.jpg

意気揚々と湖岸に下り立つこと4時間、湖面はピクリとも揺れない程のベタ凪ぎであった。
朝一のワンド内で頻繁なライズがあったものの、それ以外に湖の変化は無く、
少しでも水通しの良い岬に移動していた。
岬に移動して来て1時間経過した頃、風が吹き始め、深く沈めたスプーンに
わずかに湖流を確認できるようになった。
風が止んだ後、南風が北風に変わる。
揺れる湖面の下ではベイトがキラキラとざわつき、バスが大口を開けて飛び出したり、
15センチほどの山女、岩魚が水面の小さな浮遊物を急浮上してついばんだりする光景を
目の前に、依然としてルアーへの反応は無かった。

シーズン盛期にはあちこちに見られる釣り人も、今日は、この時間帯は僕一人。
定期的に鳴り響く獣払いの空砲が木霊し、水面スレスレを尾の青い鳥が飛んでいく。
僕はこの時期のこの釣場が次第に好きになってきている。

雨が降り始め、次第に激しくなり雷が鳴った。
遠くで鳴っていた雷が、急に近くでカチッという音と共に光り、ゴゴーンと空気を震わせた。
激しい雨と涼しい風が吹き始める。
この雨が止めば、湖は良い状況になるのではと、諦めきれぬ思いのまま
僕は身を屈めながら足早に車へと急いだ。
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テーマ:ルアーフィッシング - ジャンル:趣味・実用

  1. 2011/08/09(火) 12:26:04|
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