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寒さとトラブルと、そして本栖湖

前回の本栖湖釣行は11月の初旬で、まだ水温は高めだった。
開始30分以内で友人が1尾あげた以後、僕らのどの竿も沈黙していた。
日はすっかり昇り、諦めかけた正午前にやっとの事でバイトを得る。
半ば諦め、半ば、自分には掛かるかもしれないという、自信では決して無く、
希望を何とか繋ぎ止めていた時だった。
頭の天辺から足先まで、身体のすべてが一気に覚醒し、カッと熱を帯びる。
時に呼吸をしていない事を自覚出来ないほどの、この感覚を他で体感することは
出来るだろうかと考えるが思いつかない。
そして、ラインのテンションが抜け、覚醒しきった身体はそのやり場を一気に失い、
頭と心は一瞬真っ白となって、状況把握とその事実を認める事に右往左往する。
たとえ釣り上げられなかったとしても、これがあるから僕は釣りをやめられない。

前回のそんな事を思い出しながら友人のピックアップ場所に向かう。
いつもの様に、思いつくままの会話をしながら今日の釣行に胸を躍らせる。
広大な本栖湖の水辺に立ち、帰ってきたぞと、一時的にホームを失った僕には
そう感じたが、友人はどうだろうか?

ここひと月の間に気温はガクンと下がり、今車から出たばかりだというのに
凍える程の冷気は指先を通って直ぐに身体の芯まで達した。
散発的なライズに狙いを定め、付近をミノーで探る。
直ぐにガイドは凍り付き、湖水に沈めて溶かしては投げるの繰り返しを強いられ、
いよいよ、この時期がやってきたなぁと、あたかもずっと昔から釣りをしているような
言葉が頭に浮かんだが、僕はまだ2年生だ。
年齢相応の経験をしてきたつもりだが、こと釣りに関しては保育児なみで
長男の顔がチラリと脳裏をよぎり、それは直ぐに、まだ歯の生え揃っていない次男の
まん丸とした笑顔に固定された。
果たして僕の釣り人生は何年生まで進級できるだろうか?

寒さを甘く考えていた。
次第に背は丸まり、肩が軋み、指が思う様に動かない。
キャストもぎこちなくなり、ライントラブルが頻発した。
ルアーの動きをイメージする事を忘れ、投げて巻くという仕事に必至となった。
ここでリールの巻き重さに気付く。
ゴリゴリと軽いルアーでさえ、まともに巻けない。
コインでカバーを開けて内部を観察する。
完全にグリスが切れている様には見えないのだが。
カバーを外したまま、釣りをしながら様子を見るが
キコキコだか、シャリシャリと音が鳴るのはどこだろう?と
耳を近づけて原因を探ろうと勤めたのだが、結局はよく分からなかった。

しかたなく、そのまま釣りを続行したら次第に、音は依然としてするものの
抵抗は少なくなった。
寒さとこのトラブルでテンポは乱れ、集中力は途切れた。

今日のボウズは寒さとトラブルの性にして、年内最後の一尾に夢を見る。



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テーマ:ルアーフィッシング - ジャンル:趣味・実用

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