やはり結局は手に入れてしまった。
ボディの柔らかい輪郭線がなんともいえない。
ボディとほぼ平行に真っ直ぐに伸びるハンドル形状と、鈍く輝く、その金属に質量を感じる。
平行である事、平行に感じることは(リールの場合)、ただ単に外見的にすっきりしているだけでなく
物の基本構成どおりである為か、操作上の心理的な安心感が得られるような気がするのは僕だけか。

届いた段ボール箱のちょっと乱雑に張られたガムテープを、逸る気持ちを抑える様に
わざとゆっくりと剥がした。
クシャクシャの固いビニール袋にポツンと無造作に入られていたけれど
そんな一瞬の不快感なんて直ぐに忘れてしまった。
最近、物置きと化していた部屋をやっとの事で片付けて、
ちょっとはそれらしくなった空間にデスクを置いた。
そのデスクの上に静かに
Mitchell408を置いて眺め、手に取ってハンドルを回しては
また置き、キッチンに行って酒を持ってきて、ちびちびやりながら同じ事を繰り返す。
今の僕にはこんな時間が必要だったんだろう。
ほろ酔いになって、すっかり気分が落ち着いた。
同じペースで酒をグラスに注ぎながら、ボディのフタを外し内部構造を眺めた。
卵形のボディ内部には、そのカタチに沿ってギアやその他のパーツが詰め込み過ぎず
適度な余裕をもって配置されたいた。
何年前につくられたものだろうか?
NETで調べる限りでは60年代から70年代初期の物と推測できる。
ボディの塗装ハゲはなく、内部パーツも外見上の不具合はなさそうだ。
固めの旧くなったグリスの匂いを嗅いで、手元に来るまでどんな人達に
どんな場所で使用されてきたのだろうと思いを馳せる。
ラインローラーは無い。
タングステンカーバイド製のラインガイドということらしい。
このタングステンカーバイド(炭化タングステン)とはなんだろうか?
調べたところでは、
タングステンはダイアモンドに次ぐ硬さ持った金属。
融点は金属の中で最も高い摂氏3,380℃で、沸点は摂氏5,000℃を超える。
比重は19.3と金とほぼ同じで、鉄の約2.5倍。希少金属のひとつ。
タングステンカーバイド(炭化タングステン)は以下。
タングステン粉末と炭素を水素気流中1500℃に熱することにより生成。モース硬さ9と非常に硬い。融点2860±50℃、比重15.5~15.7。耐酸性が強く濃硝酸とふっ化水素酸混合物にも20℃までは侵されず、60℃以上で分解する。超硬合金の製造に用いられる。
とある。
ほほぉ~、勉強になったなぁ。
この箇所に傷があってはならないことは容易に想像出来る。
だから、当時この金属が採用されたのだろう。
それは分かったとして、ここを通るラインの劣化具合はどうなのだろうか。
実釣してみるしかないことだが、潤滑剤を使用した方がいいだろうか。
家での釣り、今日はここまで。
- 関連記事
-
テーマ:ルアーフィッシング - ジャンル:趣味・実用
- 2010/12/09(木) 12:39:48|
- Fishing stuff
-
| トラックバック:0
-
| コメント:6
おフランス製ですネ。
いいですねぇ。
アブもそうですが、この頃の機械って温かみがありますよね。
現在の精密リールと違う、竹細工のビクに通じるような何かが・・・
カリカリと巻いては眺める、なんて気持ちのよさそうなお酒の飲み方だろう!
- 2010/12/10(金) 22:23:49 |
- URL |
- いわなたろう #-
- [ 編集]
SKYさんこんばんは。
ついに408を手に入れましたか。
昔、その408を使い0.4号のラインを使用して管理釣り場でよく使っていました。遊星ギアの為、ライントラブルはほとんどありませんでした。
少々癖のあるリールですが使えば使うほどに道具としての味が出てくるはずです。何時までも飽きが来ない不思議なリールです。
リン青銅?もくしは真鍮製のギアの磨耗は早いので早めのサイクルでクリーニングしてグリースを交換する事をお勧め致します。
純正スプールは、アルミ製の深溝と、樹脂製の浅溝とありますが、樹脂なので劣化による割れには注意が必要ですので大事にしてやってください。
- 2010/12/12(日) 00:10:10 |
- URL |
- Megaceryle lugub #JalddpaA
- [ 編集]
はい、おフランスなのですヨ。
巻くと、ボディにブルンブルンと振動が伝わります。
これ、リールのSRだなぁ(笑)
嫌いじゃないなぁ、こういうの。
いまではバイクも電子制御で、エンジンの振動もかなり抑えられてるみたいですが
やっぱり、シンプルで癖のあるものに惹かれちゃいますね。
バイク部屋に持ち込んで酒が飲めないので、これ最高に酒の肴ですよ。
- 2010/12/13(月) 16:07:47 |
- URL |
- SKY #-
- [ 編集]
Megaceryle lugubさん、こんばんは。
こっちに足を踏み入れてしまいました(笑)
いつまでも飽きがこないですか。
いいですね。これ私にとっての物選びでとても大事な部分です。
マメなメンテナンス必要なんですね。
気をつけて、永く使って行こうと思います。
アルミの浅溝があればベストだったんですがね。
- 2010/12/13(月) 16:56:11 |
- URL |
- SKY #-
- [ 編集]
久しぶりにコメントします。
ミッチェル、いいリールです!私は、既に泥沼にハマってしまい、右巻きの315, 309x2, 409x2と所有しています。
どれもこれも、すごく味のあるもので、このリールなしには、私の釣りは成り立たなくなるほどです。ローターの振動は、ロッドにつければ気になりません!
どなたかがコメントされていますが、ギアは結構デリケートなので、ギアの噛み合う部分には多めの新しいグリスを塗ることをおすすめします。
スプールは…深溝に、「スプールアーバー」を付けて使えば、浅溝になります。オークションなどで探してみては?
長々と失礼しました。
- 2011/01/09(日) 10:41:15 |
- URL |
- いち #sEqfP4zQ
- [ 編集]
いちさん、お久しぶりです。
私も遂に足を踏み入れてしまいましたが、
ネットなどの画像で見るより現物ははるかにいいですね。
408を選んだのもボディがブルーであることが大きかったのですが
なんとも良い色していますね。
深溝スプールに取り敢えずラインを巻いたのですが、
スプールアーバーなんて物があったのですね。
これは是非、手に入れないと。
話は変わりますが、ルアー製作されているんですね。
今年は私もやってみようかなと目論んでいます。
リンクさせて頂いてよろしいでしょうか?
今年もよろしくお願い致します。
- 2011/01/11(火) 14:28:26 |
- URL |
- SKY #-
- [ 編集]