朝マヅメをすっかり逃した僕は、それでもいそいそと車を飛ばし
初めての
ダム湖に辿り着いた。
もう日はすっかり昇り、夏らしい空の青と白い雲が目にまぶしい。
前日にグーグルマップで地形を眺め、第3候補までポイントを絞っていた。
時間が時間であるから、他の釣り人は何処にも見当たらず
午前中だと言うのに肌を刺す様な強い日差しのもと湖岸に降り立った。
ドピーカンでベタ凪ぎ。
いつも着用している薄手のネックウォーマー型の日除けを鼻まであげる。
深場を中心に重いスプーンを沈めて探る。
それにしても、ひとりだ。
広大な
ダム湖で一人ポツンと立っていると、僕はきまって
なにか現実では無い様な、地に脚の着いていない様な不思議な感覚を覚える。
日常生活の場とのスケール感が違いすぎるのだ。
はじめのうちは上手く焦点があわず、脳は目に映ったものの距離感を適切に
とらえる作業に戸惑っている感があり、立ち眩みが起こることもある。
そんなに大袈裟なものではないが、鈍っていた5感も次第にその一片を取り戻すようである。
そして僅かな恐怖を抱きつつ、とても満たされた気分にもなる。
僕は海の無い場所で育ったから、山はとても身近な存在で好きだが
特別詳しいということでは無い。
オフロードバイクで地元の林道を走り回っていた頃、普段見慣れた人里から
山へ分け入っていくのだが、砂利や土の滑り易いコーナーを攻め
ひたすらアクセルワークに夢中になっている時でも、ふと山の恐怖を感じることがあった。
晴天の真っ昼間、鬱蒼とした山でなくても、このように感じさせるのはなんだろうか。
蝉、野鳥、得体の知れない生物の音を聞きながら
そんなことをポツリ、ポツリと考えた。
ルアーへの反応は無く、足下には10センチに満たない稚魚の群れが
太陽光に反射してきらめき、パーマークの確認出来るこれまた15センチ程の
アマゴが数匹遊んでいた。
移動して橋に辿り着く。
関東ナンバーが一台、初老の男性が橋の上を、双眼鏡、一眼レフをぶらさげて歩いている。
なるほど、なかなかの絶景。

中部地方へと下る水の一滴はこの上流から。

崖壁は大規模にコンクリートが打ち付けられていた。
継ぎはぎの、どこか巨大な人造人間の一部の様。

午後は大きく移動して、川遊び。
走りながら様子を見て行く。
数える程しか行ったことのない
川での釣りはポイント選びに難儀する。
瀬、開き、淵などの乏しいキーワードを頼りに
そして、釣りになる水量はどうだろうかと、
なんの妥当策も出せないまま場所を決める。

川半分手前まではかなりの浅瀬で、対岸はえぐれて流れが速い。

この状況、以前鳥取でサクラマスを狙った感じとそっくりだ。
そのとき多くのひとは川半分まで立ち込み、速い流れにミノー、フライを流してた。
夕暮れまであちらこちらとウロウロしながら
ルアーを放って
結局、魚には出逢えずの暑い一日だった。
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テーマ:ルアーフィッシング - ジャンル:趣味・実用
- 2010/08/23(月) 12:21:29|
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