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僕の記憶を繋ぐ、温かみある道具

11012013.jpg

田舎の納屋の戸を引くと少し湿った空気と埃の匂い。
薄暗さに目が慣れると、鋤や鍬が整然と土壁に並んでいた。
使いこまれた道具達が何に使われるのかは分からなかったが、
ただ眺めているだけで満たされた気持ちになったのを思い出す。

あれは全て野良仕事の道具だった。

夏の暑い日に庭の一角に拓いたトウモロコシ畑で、
首元にタオルを巻き、麦わら帽子を被って野良仕事する祖父の姿が
やけに記憶に残っている。
昼頃になると、納屋のひさしの下に座っておにぎりを食べていた。
僕も何度か手伝いをして、一緒におにぎりを食べた。

僕の中で薄れて欲しくない大切な記憶である。

その記憶を繋ぐ為なのかは分からないが、最近はどうも
手仕事による日本の道具に心を動かされている。




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テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用

  1. 2013/11/02(土) 02:58:27|
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オピネルとヒゴノカミ

オピネル。
肥後守。

最初に持つナイフとして定番であるが、
僕の世代では、鉛筆削りと言えば肥後守。
いや、正確には僕の世代がギリギリ、このナイフに馴染みがあるだろうか。
祖父がこれで鉛筆を削ってくれたのを思い出す。
一家に一本、どの家庭にもあった生活道具。
電動の鉛筆削りに憧れた時もあったが、最後まで我が家にやってくる事はなかった。
一時の流行で欲しかったというだけで、本当のところは無くても良いのだと思っていたのだろう。
親の削るところをずっと見ていて、教えてもらったりもして、それから今までずっとナイフ。
鉛筆を使いたいから削るのではなく、ナイフを使いたいから鉛筆を削るなんてこともある。
実際、仕事で画を描いたりする前に、儀式のように鉛筆を削る。
一削りごと、先端を尖らせるごとに心が落ち着き、精神集中が高まってゆく。
習字のとき、墨汁を使わずに硯で墨をするのと同じ感覚だろうか。
物の価値は利便性だけではないと感じる。

どちらも同じ折りたたみ式ポケットナイフとして、手を出し易い部類であるが、
そのデザインは見ての通り大きく異なる。
美しい曲線を持つオピネルは、フランス。
直線的で無骨とも言える表情、機能美の肥後守は日本。
どちらもそれぞれの良さがある。

higonokami_1.jpg

最近になってまた肥後守に戻ってきた。
ボディはプレス成形だろうか。一枚の金属板をコの字に折り曲げた形状。
複雑な機構、余計な生産工程を省いたシンプルな作りが素晴らしい。
歪んだら曲げて直す。緩んだら叩いて締める。使用する者が特別な知識や技術を必要とせず
自分で直して長く使い続けられる物は素晴らしい製品だと思う。

こんな完璧な製品にちょっと余計な事をしてみた。
コの字のボディは握って力を入れても特に違和感を感じる事は無いが、
しっかりと握った時の感触とフィット感が欲しいところだった。
愛用品には自分なりの特別な何かを加えたいものだ。
ナイフとともに経年変化の味が出るものがいい。
hogonokami_2.jpg

レザーケースを下へとナイフから一旦抜き、刃を出してまたボディへ滑り込ませるとグリップにもなる。
当初、予想した握り心地を上回るグリップとなった。
肥後守の美しさをわざわざ隠して、と思われる愛用者も多いかと思うが
自分が許せる範囲の出来になった、と締めくくっておこう。
higonokami_3.jpg

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  1. 2013/03/22(金) 23:08:28|
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嗜好品

最近のお気に入り。
東京を離れる際に職場の人達から餞別で頂いた品。
ずっとLAMYを愛用していた僕にとっては初めてのMontblancとなる。
頂いたこのモデルは、キャップエンドのポリレジンにロゴが封入されており、
ペンを取る度に、光に透かしては眺めて楽しんでいる。
montblanc_30.jpg

パッケージに同封されていた名入れサービスバウチャーで文字を指定し、一週間程で名入れが完了した。
自分仕様となったMontblanc。
名入れサービスやパーツ単位で色を選択出来るなどのセミオーダーは、
既製品に付加価値を求める人にとっては嬉しいサービスの一つと言える。
montblanc_10.jpg

憧れの自分だけのオリジナル。いわゆる一点もの。
フランス製であるMontblancから、オートクチュールのワードが頭に浮かぶ。
注文服に使われる言葉らしいが、昔は顧客それぞれの注文に応えていた時代があった。
ご存知の通り今でも存在するが、僕はそんな世界とは縁遠い。

それならば、もう一つ付加価値を。
黒の鏡面ボディを不要な傷からまもって頂こう。
montblanc_20.jpg

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  1. 2013/03/06(水) 13:22:29|
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物の寿命を決めるのは誰?

今まで使用してきたナイロン素材のパック類。
そのほとんどが、購入してから15年以上経過しているバックパックだ。

packs.jpg

僕は特定の活動に入れ込んでいるほどのヘビーユーザーではない。
街での使用を主としながら、キャンプ、釣り、オフロードバイクなどの
たまの野外活動において、数あるパックをその都度選択して使用してきた。

近年の野外活動の機会が増えるにしたがい、パックの出番も増えてくる。
さて、いよいよ本格的に仕事をして頂こうと、細部を観察すると致命的な問題が、、、

以前の記事にも載せたのだが、防水加工として施されたナイロン生地裏の
ポリウレタンコーティンングの劣化が大問題なのだ。
僕のパック達が患っている症状は、本来透明のコーティングが黄ばみ、日焼け後の肌のように
ボロボロと剥がれ落ちる。縫い代処理してある角を中心に酷いベタつき。
こんなパックに物をいれると、全てがベタベタとボロボロにまみれてとんでもない事になる。

どうやらこのコーティングは使用未使用に関わらず、コーティングを施した段階から
劣化が始まり、店頭で売られている新品のパックであっても、コーティングに関しては
その通りでない。
保管状況によっては短い期間で激しく劣化することもあるという。
また、いくら高価なパックを選んだとしても、このコーティングの劣化具合に大差はないらしい。

使用頻度にもよるが、そんなに頻繁に買い替えるものではなく、現にコーティングの劣化を除けば
生地や縫製自体はしっかりしており、まだ十分に使用できる。
気に入って使い続けていくと、数々の傷や汚れがつき、その1つ1つが思い出として蘇る。
そうなって初めて自分の物となった感じがする。
そんな風に、これからも宜しくという時にお役御免では悲しすぎる。

この劣化具合は果たして僕の保管方法が悪かった為なのだろうか?

この劣化を早める原因は、紫外線と湿気だという。
僕は日常的に着る服を収納するクローゼットで保管し、雨に濡れたら、レインウェアと同じように、
拭く、十分に乾かす、をしてきたつもりだ。

所有するパックのメーカーに問い合わせたことがある。
大変気に入って、今後も長く使用したいのだけれど、コーティングのボロボロと粘つきは何とかならないのかと。
応えは、まず、商品の寿命と考えて頂きたい。
劣化したコーティングを手っ取り早く剥がす方法は特に無く、強いて言えば、
取り扱う際に守る事項の逆をすればいい、すなわち、紫外線や湿気の強い環境下にさらして
劣化を促進させるということだ。
もちろん、この応えをもらう前には、「自己責任でやるから」と言って前述のアドバイスを頂いた。

という訳で、コーティング劣化は商品の寿命である、というメーカーの考え方が判明した。
僕は薄々気付きながらも、何処かで新たな解決策を期待していたのだが、やはりそうか、と落胆し、
暇を見つけては、強粘着のガムテープでチマチマとコーティングを取り除いている。
いくらやっても、日を空けてから確認すると、その時には剥がれなかったヤツがパラパラと剥がれているのだ。

どうにもならんなぁ、と諦めた。
そしてもう二度とこの類いには手を出すまいと決めた。

防水効果を犠牲にしてでも、ポリウレタンコーティングはしなくていい。

同じモデルでコーティング無しバージョンとか選べれば良いのに、と考えるのは僕だけじゃ無いと思うのだが。

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  1. 2012/10/04(木) 09:00:59|
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ビーンブーツのメンテナンス

釣りやキャンプ、雨の日の通勤にと所有するブーツの中で
最も履く機会の多いビーンブーツ

このブログでは2回登場している。
前回記事:雨の日の相棒
前々回記事:ブーツの季節/ビーンブーツ

購入から3年半が経過し、その間一度もオイルを入れる事無く
履いてきたのだが、最近では雨に濡れるとアタリの出たアッパーの
革付近から水がしみ込み、変色するようになってきた。
とはいえ、内部まで水が浸透してくる事はないのだが
この先永く使用するにはそろそろオイルを入れなくてはと、
エンジニアブーツ復活のついでにメンテナンスした。

足首周りなど最も革が動く箇所はもとより、全体的にオイル分が抜けて
少量の水分付着でも革が水を吸うようになっている。
beanboot_oilup1.jpg

革のオイル汚れは無いので、硬く絞った雑巾で汚れを拭い取り
指でオイルを馴染ませていく。
使用したオイルは複数のオイルを配合したJEWELという国産のブーツクリーム。
革の柔らかくなり過ぎや、光沢を抑えた仕様との事で、エンジニアブーツでも使用したもの。
beanboot_oilup4.jpg

ヒール周りもアタリの出易い箇所。
beanboot_oilup3.jpg

革は潤いと柔軟性を取り戻した。
beanboot_oilup5.jpg

もともと雨、水に強いビーンブーツだが、これで元の性能を発揮するはずだ。
ソールの減り具合はまだまだ当分はいけそうだが
僕の使用頻度からすると3年後くらいには交換時期が来るかもしれない。
数回にわたるソール含むゴム部分の交換を考えると、アッパーの革をなるべく
良い状態で保たなくてはならない。

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  1. 2012/04/26(木) 18:10:59|
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